2013年5月14日火曜日

授業用ビデオ教材の作成方法(13年5月時点)


13年5月時点では、左の写真のような装置で授業用ビデオ教材を撮影している。

以前のスチール本棚枠+アングル材端材の組み合わせを、アングルで組んだ台で置き換えた。これも研究室の端材を組んだもの。

カメラ台の下に見えている白いものは、ビデオの撮影範囲を示す厚紙。カメラ台に直接固定することで、カメラの位置調整がほぼ不要になった。

それから、黒いので写真だと分かりづらいが、LED照明を2基購入、設置した。枠の中に見えている黒い棒状のものが照明。ヤザワの白色LEDフレキシブルクリップライト、4,280円×2。机の端にクリップで留めて使っている。

左側からのみ照明を当てていたときは、手の右側に影ができて、書いている途中ではノートが見づらいという問題点があった。今はLED照明を2基入れて左右両方から照明しているので、かなり明るく、手の影も入りにくくなった。とはいえ、まだ手の影で見づらい部分はあるようで、照明は難しい。

4月後半からのビデオ教材の撮影にはこの機材を使っているが、映像が改善されたのは撮影機材の改善以上に、撮影に使っているソフトウェアの調整方法が分かってきたことが効いている。

まず、オートフォーカスを切って手作業でピントを合わせるようにした。金野のビデオ教材では手でノートに書いているのを撮影しているわけだが、オートフォーカスを使うと撮影途中で手にピントが合ったり、ノートにピントが合ったりして観づらかった。

それから、自動光量調整も切った。これも、手があるときとないときとで明るさ調整が行われるので、ビデオの途中で画面が明るくなったり、暗くなったりして観づらかったため。
ソフトの"RightLight"機能を切っただけでは自動明るさ調整は切れなかった。詳細設定まで降りる必要あり。

このソフトはフリーズにも悩まされた。初期のころは一晩の撮影ごとに1回か2回は必ずフリーズし、再起動させられていた。ひとつの動画を撮影し終わって、さて保存だ、というタイミングでフリーズするので、ビデオは撮り直しになるし、ノッていた説明に水は入るし、いらいらして気分が下がることこの上ない。
今は、USBポートにWebカメラを挿した状態でいちどWindowsをリセットしている。これで、今のところフリーズを回避できている。同じリセットするのでも気分的にかなりまし。

いま使っているカメラは、ピントが撮影開始時に少し狂う気がする。1つめのビデオを撮ってから、2つめを撮る前にもういちどピントを調整している。

それから、レンズがゆがんでいるのか、右側でピントが合っているとき、左側が少しぼやける。安いカメラだからしょうがないのか? セッティングでカバーできるとよいのだが。

4月までに122本の動画を撮影したと前に書いたが、5月の連休などにも上記の機材で撮影を続けて、この記事を書いている時点では177本の動画を公開している。4月は授業の直前に次の授業分ができあがるという自転車操業だったが、やっと授業より3週間程度先行することができた。(連休中に流れ学を終わらせる野望は達成できなかったが。)

2013年5月13日月曜日

授業用ビデオ教材の作成方法(初期)



授業用ビデオ教材を作成して反転授業をしているという話を先日書いたが、その作成方法をご紹介。
まずは初期型。


左の写真は、上の2枚が最初期のもので、上が手前側(座る側)から撮ったもので、2つめはその反対側から撮ったもの。


とても簡単で、手元にあったスチール本棚の枠だけを取り外して机の上に置き、その上に棒状のもの(手元にあった、ケーブルを壁に這わせるためのレール)をおいて、その棒にWebカメラをクリップで固定して使っていた。

その後、研究室にあった端材のアングル材をもらってきて、下の写真のように改造した。

Webカメラは、Logicool HD Webcam C525。ヨドバシカメラで3,480円だった。
ヘッドセットは、昔からSkypeなどに使っていた古いもの。Webカメラのマイク機能は使っていない。
LogicoolのWebcamソフトウェアはマイク入力を切り換えられる。市販のビデオ編集ソフトも試したが、マイク入力の切り換え方法が分からず、カメラ付属のソフトに戻った。

照明は、部屋の照明と、寝室から持ってきたASSA。ビデオ教材で照明が暗いのは学生に不評で、その後強化した。その話は別途。

ノートに書いて説明するタイプの教材作成をしているので、ボールペンは滑らかに書けるようにジェットストリームボールペンにしている。最初は4色ボールペン+シャープペンシルの5軸タイプを使っていたが、カチカチ切り換えるのが耳に障る気がするのとボールペンが太くて重いので、単色のものに替えた。

ルーズリーフは無印良品のA4のもの。

上の写真2枚で、ノートの横に黄色くはみ出して見えているのは、付箋で、それより上までは撮影範囲に入っている、という印。ついつい下の方まで書いてしまい、ビデオに映っていなかった、ということが数回あったので、この写真を撮影したときには付箋を貼って目印にしていた。
その後、下の写真のように、机に厚紙の物差しをべたっと貼って、ルーズリーフをその下に滑り込ませて書く方式に変えた。物差しよりも上であればカメラに写るように、カメラの位置を調整する。

机は自宅の食卓に使っているもので、元は大学入学時に買って長い間使っていた学習机。つまり撮影スタジオは自宅の居間というわけ。

実質的な出費はWebカメラとボールペンぐらい。まずはやってみようということで難しいことを考えずにはじめてみたが、安く、簡単に環境を構築することができた。

現在はこのやり方をベースに、カメラの固定と照明などを強化している。詳しくは稿を改めて。

2013年5月1日水曜日

授業用ビデオ教材、提供開始!

2013年4月から金野の担当授業で使っている、ビデオ教材です。笑ってやってください。

学生さん向け情報のページからアクセスしてください。

以前にFacebookで少し書いたが、今年から新しい授業方法を試そうと思って、教材作りに勤しんでいる。まだ完成にはほど遠いが、3月末から4月にかけて取り組んできて、型ができてきたのでご紹介。


受講生でない方で授業用ビデオ教材のイメージをつかみたい方は、なるべく新しいもの(4/24以降のもの)を観ていただきたく。それ以前のものは暗かったり、ピントが狂っていたり、音声が小さかったり、直したいところがたくさんある。

上の「経緯」のページにも書いたが、朝日新聞の「教育をタダにする オンライン授業の衝撃」という2013年3月の特集記事に触発されて、「反転授業」を試みることにし、そのためのビデオ教材を作りはじめた。学生さん達に、もっと勉強してもらおう、そして自ら学ぶ習慣をつけてもらおう、という意図。

「反転授業」(flip teaching, flipped classroom, inverted classroom)は,通常の授業とは教室での学習と自宅学習との方向性が異なることから,こう呼ばれる.

通常の授業では,受講者は教室での講義を聴いて学習し,知識を得る.そして自宅学習で宿題や演習問題などを解き,その知識を確認する.つまり教室での学習はインプットで,自宅学習はアウトプットになる.

それに対して反転授業では,受講者は自宅やPC演習室などで講義ビデオを聴講し,知識を得る。そして教室では演習問題を解くなどして,その知識を確認する.自宅学習がインプットで,教室での学習がアウトプットなので,「反転授業」と呼ばれる.

金野が担当している前期科目では、今年(2013年)から講義系科目のすべてを「反転授業」にした。

ビデオは、紙に書いて説明しているのをウェブカメラで撮影する方式にした。まずはなるべく単純にはじめられるように。3月末から準備していたが撮影は4月に入ってから行っている。

授業ではほとんど講義しない。前回の授業で行った演習(小テスト)の解説をして、授業用ビデオに不足が合った場合のみ追加の講義をして、今週分の演習をする、という流れ。
担当している科目のうち2科目は講義演習科目(講義1コマ、演習1コマがセットになった科目)なので演習をするのは当然だが、講義だけの科目(工業数学A)でも授業中は講義をほぼまったくしないで、演習をやっている。

演習の解説にたっぷりと時間をとれるのがありがたい。これまでは講義演習科目なら180分という制約があったので、演習の解説にはあまり時間をとれず、出来の悪かった問題だけ解説していた。今年度はほぼ全問をきっちり解説できる上に、演習の時間も長くとれる。

講義のほうは、ライブ授業とビデオでは一長一短ある。正直言って、ライブのほうがテンションが高い。学生の反応を見ながら授業できる。

ビデオだと、ライブの講義よりも詳しく説明できる。発展的な内容も扱える。
また、どちらかというとビデオ教材のほうが短い時間でたくさん説明できるようだ。去年まで90分間で説明していたことを、ビデオ教材だと60分ぐらいで説明し終えていることもある。理由はまだはっきりとは分からないが、説明用の図などを事前に用意できるのと、学生が板書をノートに写す時間を考慮しないから(一時停止すればよいので)ではないかと思っている。

1授業分のビデオを、1回の講義時間(90分)以内にまとめようとはしていない。時間の制約なく説明している。たいていは90分より短いが、長くなることもある。

学生にとっては、ビデオは「何度でも観られる」「空き時間に観られる」「一時停止できる」のがメリットらしい。「家に帰ってまで勉強したくないから嫌だ」という意見もあった。(このビデオのせいで自宅学習しているのだとしたら、作戦成功だ。)
携帯電話で観ている学生もいた。いちおう観られるらしい。

理工系大学なので、PC演習室があり全員IDを持っているから、観ることができないという心配はない。


現在までのフィードバック:「画面が暗い」「ピントが合ってない」「音声が小さい」「字が読めない」等々。照明や撮影ソフトの設定を工夫して、だんだん改善しているところ。「眠くなる」というのもあったがそれはどうしたらいいのだろう? もしかして金野の声からα波が出ている? せめてテンションは上げていこうと思います。

3,4月で122本のビデオ教材を作った。すべてウェブページとYouTubeで公開中。まだまだ作り続けます。

ぜんぶ自宅で撮影。台本作成、ビデオ撮り、アップロード、ウェブページ作成の一連の作業にかなり時間を取られている。徹夜したり、睡眠時間が1時間だったりとさいきんは慢性的な寝不足です。

前期は講義系科目だけで3科目(5コマ)を担当しているので、たくさんあって大変。(ほかに実験科目と卒論・修論指導があります。)このブログもほとんど更新しなかった。連休後半も引き籠もってビデオ撮りする予定。

ビデオの作成方法などは、追々このブログに載せるつもりです。

大学関係者には相談せずに自分で勝手にやっている。大学の授業が大学の資産だとしたら、流出させた俺はクビかな。むしろどんどん出して宣伝するぐらいのほうがいいと思っているのだが。