2011年2月10日木曜日

さいきんの読書・世に棲む日々

「『世に棲む日日』から読み始めています.」と書いたのが昨年の12月はじめ.読み終わったのもしばらく前なのですが,今頃になっての紹介です.

司馬遼太郎氏の作品です.文庫本で4冊.
司馬氏の本は,以前は敬遠していました.読み始めたら,止まらないんじゃなかろうか,という心配があったからです.そうは言っても数年前に「功名が辻」を読みましたし,「項羽と劉邦」も読んだことがあるはずですが,それぐらいかな.

自分が高校生の頃,周囲で「竜馬がゆく」がはやり,複数の友人から薦められたのですが,天の邪鬼な金野は読みませんでした.
時代小説そのものは好きで,池波正太郎氏や藤沢周平氏の本をたくさん買ったりしたのですが.

この「世に棲む日日」は幕末の吉田松陰と高杉晋作に焦点を当てた本です.二人が生涯を閉じる間の時間差は10年に満たないほどですが,その間に時代がうねっていく様子がよく著されています.

元はといえば齋藤孝先生の「読書入門」に紹介されていたので読み始めたのですが,齋藤先生とは読み方が違っているかもしれません.
齋藤先生は「偏っている人が出てくる本」という視点でこの本を紹介していて,実際に出てくるのですが―吉田松陰も高杉晋作も十分に飛び抜けているのですが―,自分はその時代背景の方に興味を持ちました.幕府と藩との関係,それぞれとイギリス,フランスとの関係,そして各藩の空気,人材の育て方,などが重なりあって,幕末という時代を作ってきたのだなぁと分かります.

吉田松陰や高杉新作は,生まれるべくして生まれてきたのでしょう.それだけですべてが説明できるわけではないでしょうが,時代背景や藩の空気,生まれた家の家柄もその人の性格の形成に深く関わっている.司馬氏の取材に基づく分析がおもしろいです.

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