2011年4月2日土曜日

被災地の復興構想とエネルギー問題

4月1日の記者会見で,菅直人首相は東日本大震災の被災地再生の街づくりの構想の具体例として「植物やバイオマスを使った地域暖房を完備したエコタウンをつくり、福祉都市としての性格も持たせる」などと説明したそうです.

バイオマスが最初に出てくるとは思っていませんでした.政府はバイオマスを推進しているのでしたっけ?

最終的に取り出したいのが熱エネルギーなのであれば,バイオマスでも良いと思うのですが,エネルギー需要の現状や将来の方向性を見据えたとき,熱エネルギーよりも電気エネルギーを生み出す方が望ましいのではないか? と私は思っています.

東日本大震災(と呼ばれることが決まったようですね)の影響を勘案すると政策を変えざるをえないかもしれませんが,京都議定書で取り決めたCO2排出量の削減は,地球環境の将来を考えるとき,安易に反故にはできない課題です.
日本政府はこれまで,原子力発電にかなり期待していたと思われますが,ご存じのような状況なので,今後原子力に大幅に依存し続けることは国民感情が許さないでしょう.しかし原子力発電に代えて,化石燃料をばんばん燃やす火力発電を使ってエネルギーを得ることも,CO2排出量を増加させるので望ましくない.

あえてバイオマスで行くならバイオマス火力発電などの選択肢はありますが,バイオマスの生産には広大な土地が必要になります.そして同じ土地を使うなら,エネルギー効率のより高い方法,つまりたくさんのエネルギーを取り出せる方法のほうがよい.

金野は現時点で,風力発電用の風車と太陽光発電設備とを併設するほうが,バイオマスよりも良い,と考えています.
菅首相は「「山を削って高台に住むところを置き」云々と述べています.今回の津波被害の反省から,低地には住宅をなるべく置かないようにする,という意図と解釈しています.
そうであれば,海岸線沿いの土地を政府が買い取って自然エネルギー基地とし,風力発電や太陽光発電の設備を並べて,エネルギーを生み出すのがよいのではないか.

生み出された電力は東京などに送って電気代を取り,地域の復興に回すことができるとなおよい.

「復興構想会議」が設置されると報道されています.被災地の皆さんの生活を立て直すことが第一ですが,同時に日本が抱える長期的な課題への対処も視野に入れ,構想を練ってほしいと思っています.

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