2010年2月11日木曜日

積極的学習者 消極的学習者 学習拒否者

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』(酒井穣・著)という本を読みました.この本の第2章の冒頭に,人材は3つのタイプに分けることができる,とあります.すなわち,

  • 積極的学習者(10%)―自分から学ぶ人,学ぶことを楽しむ人
  • 消極的学習者(60%)―役に立つことが明らかだったり,十分な報酬があるときだけに学ぶ人
  • 学習拒否者(30%)―言われたことを過去の習慣通りにこなしたい人

上記の酒井氏の本によれば,積極的学習者は,自分の持つ能力は拡張的で変わりうると信じている(拡張的知能観)のに対し,消極的学習者は,知識は増やすことができても自分の能力は基本的に変わることはないと信じている(固定的知能観),のだそうです.そして,

人材育成においては,組織におけるマジョリティーであるこの消極的学習者(60%)の固定的知能観を払拭して,彼らを積極的学習者に変えていくことが重要なフォーカスの一つになります.
(上記の書籍より)

と述べています.

大学でも然りだなぁと思いながら,この本を読みました.機械工学基礎演習という授業で以前にレポートを出してもらったときに気づいたのですが,彼らは大学に「知識を得るために」来ているのだと思っています.「考え方」を身につけることが重要,と説くと,びっくりするようです.彼らの固定的知能観を払拭するのは,大学初年次教育の重要なフォーカスの一つになるでしょう.

それはともかく,上記の3つのタイプとその割合は「マイク・ロンバルト氏は,…としている」と上記の酒井氏の本に書いてあるのですが,その原典が分かりません.酒井氏の本には明記されていませんし,ネットでちょっと引いた程度では見つからなかった.3つのタイプと拡張的・固定的知能観との結びつきについても,ロンバルト氏が言及したのか酒井氏の意見なのかが分かりません.(おそらく酒井氏の考えだと想像されますが.)
出典はどこだぁ?

(2/12追記)著者の酒井穣さんから,出典についてコメントしていただきました.ありがとうございます.

3 件のコメント:

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  2. こんにちは。ご紹介いただいた本書の著者です。まずは本書のお買い上げありがとうございました。また嬉しい書評を頂戴し、ありがとうございます。

    3つのタイプの割合、マイク・ロンバルト氏の出典ですが、『人材育成論入門』(川喜多喬、法政大学出版局)の71ページです。これは、拙著のような軽い読み物ではなく、学者によるしっかりとした教科書で、オススメです。

    ご想像の通り、固定的・拡張的知能観との結びつきは、僕の意見です。解りにくくて申し訳ありませんでした(汗)。

    今後とも、よろしくお願いします!

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  3. おー著者自らのコメントをいただけるとは!
    光栄です.ありがとうございます.
    『人材育成論入門』も読んでみようと思います.

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