2010年4月26日月曜日

中国では悪いことばかり起きるわけではない

先日,上海万博のPRソングに関連したことを書きました.報道について気にしていることをちょっと補足しておきます.
これは関満弘先生の講演からの受け売りと,その講演を聴いたあとで報道を観察してきた金野の実感です.

中国関連のニュースは,悪いものに偏向しがちだそうです.ニュースに接するときには,これを意識しておくべきだと思います.

一般に,欧米の出来事を報じるニュース(日本国内での報道内容)は,良い内容のものが多いと感じます.特に北西欧ですね.「外国はこんなにうまくやっている」(のに日本の{政府|経済|教育}は…)といった論調のものです.もちろんぜんぶではありませんが,いくぶん偏っている傾向があります.

一方,中国で「こんないいことがありました」というニュースに日本国内で接する機会は少ないです.悪いことはたくさん報道されますが,いいことはあまり報道されない.
これは,中国では滅多に良いことがないというわけではなく,報道が偏向しているからだと考えられます.つまり日本人は,そういう報道を見たくないわけです.中国は日本に比べて遅れているとか,悪いとか,そういう報道を日本人が好むので,メディアもそういう報道をしがちである,ということです.

このような報道の偏りは,日本人の中国に対する感情に影響を及ぼしますが,それだけでなく経済的にも影響が出ているそうです.

たとえば中国で大きな開発プロジェクト(数100億円~数兆円規模のもの)が立ち上がったとき,日本ではそれがほとんど報道されない.そのため,そのプロジェクトには日本企業が1社も食い込んでいなかったりします.欧米企業は数100社食い込んでいるのに,です.
理由のひとつは「知らない」ということですが,このプロジェクトを知っている企業も,進出をためらう傾向があるそうです.「日本ではあまり景気の良い話がない」+「中国は日本より悪い」と思い込んでいる日本人経営者は,中国で景気のいい話があるわけがないと思っている節があるらしい.

関先生の講演でこのような話を聞かされてから,金野も中国関連の報道を鵜呑みにせず,気をつけるようにしています.

今回の上海万博の報道も,同じ傾向があるように感じています.検索してみると分かりますが,良い記事もそれなりにあるものの,悪い記事のほうが多いし,大きく報道されています.今回のパクリ疑惑の報道以前には,上海万博の開催を知らなかった人も多いのではないでしょうか?
去年,上海に行ったときに,中国という国が急速に発展していて,その結果としてあちこちに歪みを生み出していることは感じてきました.良いことばかりではないのは,分かります.でも悪いことばかりというわけでもないのです.

報道には偏りがあるかもしれないので,気をつけましょう.

0 件のコメント:

コメントを投稿